パンダアップデートやペンギンアップデートを皮切りに、2013年頃からコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えました。

その中で、コンテンツマーケティングのKPI(重要業績評価指標)を正しく設定し、運用を行えていますでしょうか。

「SEOでロングテールワードが上位表示されれば良い」、「PVが増えてきているから良い」といった曖昧な目標設定では、失敗してしまう可能性が高くなってしまいます。

今回は、費用対効果の高いコンテンツマーケティングを実施するための「コンテンツマーケティングのKPI設定・運用方法」を解説します。

そもそもコンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングのKPI設定を理解する前に、コンテンツマーケティングの定義や必要性を正しく理解しておきましょう。

コンテンツマーケティングの定義

アメリカのコンテンツマーケティングインスティチュートによるコンテンツマーケティングの定義は下記となっています。

“Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly-defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.”

コンテンツマーケティングとは、適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを伝達することにフォーカスした、戦略的なマーケティングの考え方である。見込客として明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする。”

この定義の中では、特定のメディアやフォーマットについては触れられておらず、ブログや動画など、特定のメディアに縛られた手法ではないということが分かります。

コンテンツマーケティングとはユーザーの疑問・関心・悩みに対して、適切で価値ある情報を提供し、そのコンテンツによって見込み客(リード)を獲得し、見込み客の育成を行い、最終的に購買、ファンへと導くマーケティング手法を指します。

1.日本国内でコンテンツマーケティングが注目された理由:SEOアルゴリズムの変化

日本国内では、コンテンツマーケティングをSEO対策として実施している企業が多いと思います。

その理由は、従来の検索エンジン集客手法が通用しなくなってきたことが要因でしょう。

SEO対策であれば、コンテンツマーケティングが注目されるようになる前は、被リンクを用いた被リンクSEOが王道でした。

被リンク施策により、価値のないコンテンツ(サイトやページ)が上位表示されるようになり、検索エンジンは2012年にペンギンアップデートを行い、故意的に設置された被リンク施策を行なっているサイトのランクを落としました。

その後もパンダアップデートや各種アップデートのリアルタイム更新を経て、小手先のSEOテクニックが通用しなくなり、検索エンジンからの集客を獲得するために、有益なコンテンツを制作・発信していく必要が出てきたため、日本国内では、SEO対策の一環としてコンテンツマーケティングが急速に普及したと考えられます。

2.日本国内でコンテンツマーケティングが注目された理由:Push型のマーケティング手法の衰退

情報が少ない時代は、Push型のマーケティング手法が王道でした。

オフラインであれば、チラシDMやテレマーケティング、オンラインでもリスティング広告などが主流でした。

しかし、スマートフォンの普及やそれに伴うインターネットインフラの整備が進んだことにより、ユーザーは大量に取得した情報の中から、自分が欲しい情報・商品・サービスを比較検討し、取捨選択するように変化しました。

勿論、現在でもPush型のマーケティング手法も成果を獲得できるケースもあります。

本質的な部分で解説すると、情報過多の社会になったことにより、興味・関心の薄い潜在層にアプローチ出来るようになったことが、Push型のマーケティング手法が衰退している原因だと考えられます。

例えば、「結婚し子供が増えるので、家を買おう」と考えている顕在層にリスティング広告でアプローチするのは効果的です。しかし、「結婚もしていない独身層」に同様のリスティング広告を出しても顧客には繋がりません。

しかし、「将来家族を持つにあたって独身男性が考えるべき住宅購入のこと」といった内容であれば、「結婚していない独身層」にも受け入れられる可能性はありますし、「結婚していない独身層」の中には、結婚を考えている彼女がいる人もいます。

このようにニーズが顕在化する前のユーザーに対して、アプローチすることができるように変化し、顕在化する前の潜在層へアプローチし、育成していくことができるようになったのもコンテンツマーケティングが必要になった背景と考えられます。

コンテンツマーケティングのKPI/KGIを設定しましょう

まずは、KPIを設定する前にKGIを設定しましょう。

コンテンツマーケティングにおけるKGIの設定方法

KGIは、Key Goal Indicatorの略称で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。
KGIを設定するポイントとしては、定性的な目標を掲げるのではなく、定量的な目標数値を掲げることです。

コンテンツマーケティングにおいては、「●●のようなメディアにする」といった曖昧な目標ではなく、例えば、「コンテンツマーケティングを行うことによって、1年後にCPAを5,000円以下に下げる」や「10ヶ月後に見込み顧客(リード)を月50件獲得する」などの具体的な目標数値を設定するようにしましょう。

この際に重要となるのが、
・When(いつまでに)
・What(何を)
・How Long(どのぐらい)
と2W1Hを意識して設定することです。

コンテンツマーケティングにおけるKPIの設定方法

KGIを設定した後には、KPIを設定するようにしましょう。KPIを設定する際には、KGIからの逆算を行い、KGIで設定した数値・期間を達成するためのロードマップを作る気持ちで設定するとうまくいきます。

設定したKGIにもよりますが、一般的にKPIとして以下の各項目が指標となるケースがあります。

・セッション数
・UU数
・PV数
・回遊率
・問い合わせ数
・会員獲得数(有料/無料)
・エンゲージメント率
・SNSシェア数

また、コンテンツマーケティングでKPIを設定する際には、先ほど逆算するとお伝えしましたが、フェーズ毎にKPI指標を設定するべきです。

例えば、リリース1カ月目のメディアが、1カ月目に100件のリード(見込み顧客)を獲得するKPIには、無理があります。

例えば、コンテンツマーケティングを実施後3カ月〜6カ月は、セッションやPV数、UU数をKPIに設定し、6カ月目から会員登録数も獲得するなど、フェーズ毎にKPIを設定するようにしましょう。

下記は、弊社のお客様(不動産)で立てたKGI・KPIの事例です。

このようにKGIから逆算することにより、フェーズ毎に適切なKPIを設定知ることが出来ます。

フェース毎にKPIが変わるのではなく、フェーズ毎に追うべきKPIを増やしながら運用していくといいでしょう。

1つ1つを細かく追うことにより、KPIがショートしそうな場合や逆にうまくいっている場合に何が原因・要因になっているかを直ぐに把握することができます。

例えば、PV数はKPIを達成しているけど、会員登録数が達していない場合は、そもそも想定していた会員登録率があまかったということが想定されます。

会員登録への誘導の仕方を変えるなどして、会員登録率の向上を狙ったり、全体の流入数を増やすためにコンテンツを増やしたりするなどの改善策を直ぐに実施することが出来ます。

逆にうまくいっている場合は、コンテンツマーケティングを通して、更に集客を増加させるための投資を行いやすくなります。

KGIやKPIが不明確なまま進めてしまうと、何が悪くて何が良いのかといった判断を出来ない状態となってしまいます。特にコンテンツマーケティングでは、リスティング広告をはじめとする広告施策に比較し、最終的な目的を達成するためにある程度の時間を要します。

KGIやKPIを設定していないことにより、成果が出るまでの過程の中で、成果不良の判断となり、コンテンツマーケティングプロジェクトが中止になる企業も少なくないはずです。

KGIから逆算したフェーズに合わせたKPIを設定することにより、コンテンツマーケティング施策を成功に導く指標を持つようにしましょう。

まとめ

コンテンツマーケティングをこれからはじめる場合は、定量数値を入れた明確なKGIを設定し、逆算してKPIを立てていくようにしましょう。

既にコンテンツマーケティングを取り組んでいて、KGIやKPIが不明瞭な状態になっている場合は、まずコンテンツマーケティングを実施した背景を思い出し、再度0ベースでKGI・KPIを設定するようにしましょう。

自社で実施する場合もそうですが、外部のコンテンツマーケティング会社を利用する場合は、コンテンツ納品会社ではなく、KGI・KPIを共に設定し、KPIを共に追えるコンテンツマーケティング会社に依頼を行うようにしましょう。

Movie-Antennaを運営する株式会社トライハッチでは、コンテンツマーケティングの戦略設計から競合分析、KGI/KPIの設定から、ペルソナ設計、ライティング、検品、効果測定、改善をワンストップで提供しています。

これからコンテンツマーケティングをはじめる企業の方やご興味ある方、現在コンテンツマーケティングを行なっているけど課題を感じている方、無料で相談承っていますので、お気軽にご相談ください。

戦略型コンテンツマーケティングなら株式会社トライハッチ

某IT企業に勤める一介のマーケッター。デジタル領域のマーケティングを中心に15年で300社以上のデジタルマーケティング支援に従事。2児の父。趣味はサウナとギター。