コンテンツSEOを導入する企業様も多くなりました。その中で、コンテンツSEOで上手くいった企業様もいれば、成果が出ずに悩んでいる企業様もいると思います。
今回は、私が今までに200以上のコンテンツSEOに関する相談を受けてきたノウハウをもとに、コンテンツSEOとは?といった基本的な部分から効果面、運用方法までを紹介していきます。
目次
コンテンツSEOとは何か?

コンテンツSEOとは、ユーザーにとって有益な情報を持ったコンテンツ(ページ)をWebサイト内で配信することにより、コンテンツ自体が検索エンジンに評価され、SEO上位表示することにより、トラフィックを獲得する施策のことを指します。
コンテンツSEOを行うことにより、ロングテールワード(複合ワード)でのSEO上位表示やそれに伴うアクセス増加を行うことができ、トラフィック獲得の幅を拡げることが可能になります。
また、検索エンジンに評価されるコンテンツが多ければ、サイト全体の評価も向上し、結果、ビッグワードの上位表示も行うことができます。
SEO対策において、コンテンツは昔から重要視されていましたが、パンダアップデートやペンギンアップデートなどのSEOアルゴリズムのアップデートにより、それまでSEO対策の主流であった被リンク施策などが通用しなくなったことが、近年コンテンツSEOが重要視された背景にあります。
また、スマートフォンの普及により、ユーザーの検索リテラシーも向上し、ユーザーは自分が知りたい情報や悩みを解決してくれるコンテンツをより具体的に検索するようになりました。この変化は、検索キーワードの変化というカタチで顕著に表れています。
例えば、「不動産投資」という1つのキーワードにしても「不動産投資_リスク」や「不動産投資_成功例」などのロングテールワードで検索するユーザーもいます。
Google(検索エンジン)の企業理念の1つとして、「ユーザーに有益な情報を届ける」があります。ユーザーの変化に合わせて、よりユーザーの知りたい情報や悩みを解決するコンテンツが、検索エンジンマーケティングで重要になってきているのは、もはや必然的なことだと考えていいでしょう。
コンテンツSEOの効果
それでは、実際にコンテンツSEOでは、どのような効果を得ることができるのでしょうか。
下記の事例は、当社でコンテンツSEOの支援をさせて頂いている「不動産会社様」のコンテンツSEOを行なった結果です。
事例:不動産会社様(借地権に特化した新規オウンドメディア)

※施策開始12ヶ月後 ●月間セッション数:13,083 ●月間ユーザー数:11,617 ●月間PV数:19,128 ●平均滞在時間:1:18 |
お客様が事業運営をする中で、エンドクライアント様から良く頂く質問に対しての回答をコンテンツとして、毎月8記事ずつアップしていきました。
結果、ニッチなキーワード且つ新規ドメインのオウンドメディアで、12ヶ月後に月間1.9万PVを超えるメディアへと成長しました。全体セッションの92%を検索エンジンから獲得出来ています。
●キーワード順位例
借地権割合 | 1位 |
地代 相場 | 1位 |
借地権 期間 | 1位 |
借地権 権利金 | 1位 |
借地権 名義変更 | 1位 |
正しいコンテンツSEOの進め方

ここからは実際にコンテンツSEOで成果を出すための正しい進め方を紹介していきます。まず、コンテンツSEOを成功させるには、大きく分けて2つの視点を持つようにしましょう。
- 読み手(ユーザー)に価値のあるコンテンツをつくる
- 検索エンジンの傾向を掴む
SEOだけを意識してコンテンツを作ってしまうと、本質的なユーザーにとって有益なコンテンツは作れません。逆にユーザーに価値あるコンテンツを作ることだけを意識すると、基本的なSEO部分が弱くなってしまう場合もあります。そのため、この2つのバランスを取ったコンテンツを作るようにしましょう。
手順①:目的やゴール・期限を決める(重要度:★★★★★)
まずはじめに行うべきことは、コンテンツSEOを行うにあたって、目的やゴール・期限を決めることです。
- 目的を決める
- 定量目標と定性目標を決める
- 期限を決める
- どのように行うかを決める
1.目的を決める
まずはじめにコンテンツSEOを行う目的を決めるようにしましょう。
例えば、「Webマーケティング予算全体のコスト削減のため」や「リード(見込み客)の獲得」など、目的を決めることで、運用していく中で軸がブレないようにする意図があります。
また、社内体制の変更などでWeb担当者様が変わる際にも”目的”を決めておくことで、スムーズな引き継ぎが出来るようになります。
2.定量目標と定性目標を決める
定量目標に関しては、トラフィック部分でもいいですし、リード獲得数でもいいと思います。定性目標に関しては、競合サイトや他業種の有名サイトを目標にしてもいいと思います。
定量目標と定性目標を決めることにより、コンテンツSEOを運用していく中での効果測定や振り返り、改善の質を高めることができます。
3.期限を決める
定量目標と定性目標を決めた後には、それぞれの期限を決めるようにしましょう。
例えば、「6ヶ月後に1万PVを超えるメディアにする」など、期限を明確にすることが大切です。期限を明確にすることにより、逆算して期限までのKPIをセットすることができますし、期限目標を達成するための具体的なアクションに落とし込むことが出来ます。
例えば、「6ヶ月後に1万PVを達成するために、4ヶ月目で7,000PV〜8,000PVを超える必要がある。大体の1記事あたりのPV数が●●だとすると、1ヶ月に△△数の記事が必要」など、具体的なアクションを決めることができます。
4.どのように行うのか
目的・目標・期限を決めた後には、実際にどのように行うのかを決める必要があります。
- 社内のメンバーだけで行うのか
- 外部の業者を使うのか
- ライターはどうするのか
- 誰がプロジェクト管理をするのか
- 誰が何を行うのか
体制面やそれぞれの役割を明確にし、実際にコンテンツSEOを成功させるための運用方法を決めるようにしましょう。
手順②:コンテンツSEOの配信チャネルを決める(重要度:★★★★☆)
コンテンツSEOを行うにあたって、既にあるサイトに1つメニューを増やして行う場合やディレクトリ配下にオウンドメディアを立ち上げる場合、新規ドメインのオウンドメディアを立ち上げる場合と様々な方法があります。
一概にどれがいいかというのは、コンテンツSEOの目的にもよりますが、ディレクトリ配下、もしくは新規ドメインでオウンドメディアを立ち上げるのを当社では推奨しています。
理由としては、コンテンツSEOで流入するユーザーのモチベーションを考慮しているからです。ロングテールワード(複合キーワード)で検索するユーザーは、情報検索をしているユーザーです。一般的には、潜在層と呼ばれる層であり、”何かを欲しい”というよりは、”●●を知りたい”、”●●ってどうなのだろう?”といったモチベーションのユーザーです。
メインのオフィシャルサイトやサービスサイトは、既に自社を知っていたり、”●●が欲しい”、”●●を利用したい”といった顕在層のユーザーです。既存のWebサイトにメニューを増やして、コンテンツSEOを行うと、この”顕在層”と”潜在層”が乱立することになります。
ユーザーのモチベーションに合わせた最適なコンテンツを届けるためにもコンテンツSEOは、オウンドメディアとして行った方がいいという理由があります。
また、「SEO目線で考えると、新規ドメインのオウンドメディアの場合、ドメイン年齢で損をするのではないか?」と良く相談を受けますが、今の検索エンジンでは、ドメイン年齢は検索順位に大きく関係はしません。
ドメイン年齢が評価の対象になっていたのは、「長く公開されているサイトは、良いサイト」という認識を検索エンジンがしていたからです。しかし、検索エンジンも日々進化しており、長く公開されているサイトでも中身のないサイトは評価しないようになっています。ドメイン年齢よりもコンテンツの中身を重要視するようになってきています。
例えば、先ほど紹介した「不動産会社様」の「借地権割合」というキーワードでは、各順位サイトのドメイン年齢は下記のようになっています。
SEO順位 | ドメイン取得日(ドメイン日数) |
1位(弊社クライアントサイト) | 2017年5月24日(384日) |
2位 | 2000年12月5日(6,398日) |
3位 | 2005年10月4日(4,634日) |
4位 | 2000年3月22日(6,656日) |
5位 | 2017年2月27日(470日) |
6位 | 2007年6月3日(4,027日) |
7位 | 2014年11月18日(1,302日) |
8位 | 1997年2月12日(7,790日) |
9位 | 1997年2月12日(7,790日) |
10位 | 2008年5月26日(3,669日) |
※2018年6月12日時点のSEO順位及びドメイン年齢となります。
このように良い中身のコンテンツであれば、ドメイン年齢は関係なく評価されますので、ドメイン年齢が懸念点の場合は、気にしないでいいです。
手順③:キーワード選定と競合分析(重要度:★★★★★)
コンテンツSEOを行う上で、キーワード選定と競合分析を行うことが最も重要だと当社では考えています。キーワード選定、競合分析の手順は、以下の通りとなります。
STEP1.単体キーワードの洗い出し
まずは、コンテンツSEO施策のメインとなる単体キーワードを決めましょう。
単体キーワードの洗い出しでは、普段注力しているメインキーワードを選定するカタチで問題ありません。例えば、不動産投資会社であれば、「不動産投資」や「アパート経営」、「マンション経営」などがメインワードになると思います。
STEP2.ロングテールワードの洗い出し
無料のWebツールで、「goodkeyword」というモノがあります。goodkeywordでメインワードを検索窓に入力すれば、下記図のように関連するロングテールワードを抽出してくれます。

STEP3.各キーワードの検索数を調べ、キーワードの優先順位を付ける
単体ワード、ロングテールワード含め、Google Adwordsのキーワードプランナーを利用して、各キーワードの検索数を調べるようにしましょう。また、検索数がないキーワードとあるキーワードを分類しておくと、コンテンツの企画を作る際に効率良く企画を作ることが出来ます。
また、検索数を調べた後には、キーワードの優先順位を付けるようにしましょう。この段階では、優先順位というよりは、このキーワードで上位表示出来たら良いなといった希望のキーワードで問題ないです。どのキーワードを獲得したいか目星を付けるようにしておきましょう。
STEP4.キーワードの上位サイト傾向を分析する
優先順位を付けたキーワード1つ1つの上位サイトを分析するようにしましょう。分析項目は下記の通りとなります。
- テキスト量
- キーワード含有率
- タイトルタグ(文字数・キーワード配置・キーワード含有率)
- Descriptionタグ(文字数・キーワード配置・キーワード含有率)
- hタグ(文字数・キーワード配置・キーワード含有率)
- コンテンツタイプ(コラム型/Q&A型etc.)
SEO的な目線と読み手(ユーザー目線)で上位サイトの傾向を分析するようにしましょう。最低でも上位3サイト、出来れば1位〜30位まで、上記項目を分析し、対象キーワードの傾向分析を行うようにしましょう。
☆コンテンツSEOのキーワード・競合分析を外部に依頼したい方へ☆ ここまでの説明で、キーワード・競合分析を行う人材や時間がない企業様や手間だと感じられる企業様もいらっしゃると思います。 Tryhatch Marketing Blogの運営元である株式会社トライハッチでは、このようなお悩みにお応えする為、 コンテンツSEO全体のご支援から、キーワード・競合分析だけのご相談も承っています。お気軽にご相談下さい。 |
手順④:コンテンツの企画作成を行う(重要度:★★★★☆)
キーワードの分析・競合分析が完了した後には、各キーワードに対してのコンテンツ企画を作るようにしましょう。
コンテンツ企画を行う際に参考になるのが以下となります。
- 上位サイトのコンテンツ
- Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイト
- はてなブックマーク記事
- Naverまとめで人気のある記事
あくまで参考ですので、コピペして他サイトのコンテンツを流用することだけは絶対にNGです。少し文章を変えれば大丈夫でしょ!といった安易な考えですと、ペナルティの対象になる可能性もありますし、モラル的にも流用元に訴えられる可能性もあります。
あくまで参考にし、オリジナルでコンテンツを作るように心がけましょう。
また、コンテンツ企画に関しては、以下を準備しておくといいでしょう。
- タイトル
- キーワード
- 参考記事
手順⑤:レギュレーションの作成(重要度:★★★★★)
コンテンツSEOにおいて、自社でライティングを行う場合も外部ライターを使う場合でもレギュレーションを作成することは非常に重要です。
レギュレーションとは、直訳すると「規則・規制」です。コンテンツSEOを行う際のレギュレーションは、ライティングをする際のルールだと考えれば問題ないと思います。
「トーン&マナー」や「ですます調」、コンテンツタイプ(コラム型/Q&A etc.)などを決めておく必要があります。レギュレーションを作成していないと、社内・社外どちらのライターを利用している場合でも基本的な部分でバラつきが出ます。レギュレーション作成をしていないことで、期待していたモノとは違うコンテンツが出てきてしまったり、余計な修正作業・検品作業が発生してしまいます。
また、1人でレギュレーションを決めてしまうと偏りが出ますので、必ず2名以上で意見を出し合いながらレギュレーションを作成するようにしましょう。
手順⑥:ライティング(重要度:★★★★★)
ライティングを行う際、企業様によって以下4パターンに分かれると思います。
- 自社ライターを抱えており、自社ライターにライティングをしてもらう
- 自社ライターはいないが、社内のスタッフにライティングしてもらう
- クラウドソーシングに依頼する
- コンテンツSEO会社を利用する
それぞれのパターンのメリット・デメリットを紹介していきます。
●自社ライターに依頼する場合
自社ライターを使う場合、メリットはコミュニケーションが取りやすい点と育成できるといった2つがあります。また、社内にいるからこそスピード感を持って対応できますし、プロジェクトとして、チームとして進行できる点はメリットです。
デメリットに関しては、ライターの人数にもよりますが、長く運用すればするほどにコンテンツが俗人的になる傾向があります。また、これはコンテンツSEOに限った課題ではありませんが、退職してしまい、ライターがいなくなってしまった場合に運用がストップしてしまうリスクもあります。
自社ライターでコンテンツSEOを行う場合は、俗人的にならないようにすることと、人材がいなくなってしまうリスクを想定し、リスクヘッジした運用を心がけるようにしましょう。
●自社スタッフに依頼する場合
メリットは、自社ビジネスの理解があるというところです。
逆にデメリットとしては、どうしても片手間になってしまうため、スピード感のない運用になってしまったりします。また、ビジネス理解は深いですが、SEOの観点や読み手の観点ですと、ライティングを生業としている人たちがライティングしているコンテンツと勝負をしなければいけない点、アクセスが集まらないという問題も発生します。
当社にご相談頂くお客様の中でも自社で運用を進めて上手くいかなったというのも多くあります。
●クラウドソーシングに依頼する
クラウドソーシングを利用するメリットは、価格面でしょう。安くライティングを依頼しようと思えば、2,000円でも依頼を出来ます。実績のある方であれば、それなりの価格はしますが、一般的な価格面で言えば安いと思います。
また、クラウドソーシングの中には、本当にこの価格で良いの?と思わずびっくりするような高品質の記事を納品してくれるライターもいます。良いライターに出会えれば、メリットだらけでしょう。
逆にデメリットは、管理が大変だということです。計画していた期日に納品されなかったり、思っていた記事が納品されないなど、様々なトラブルが起きるのも事実です。
●コンテンツSEO会社を利用する
コンテンツSEO会社を利用するメリットは、ノウハウ部分と運用面で管理する手間を代行してもらえるという点でしょう。そのため、社内のコンテンツSEOにかけられる体制が少ない人数だとしても外部にチームを持つことができますし、管理面・ノウハウ面を提供してくれますので、少ない手間でコンテンツSEOを運用することができます。
デメリットは、直接クラウドソーシングを利用したりする場合に比べ、価格面が高くなることでしょう。
ライティング部分に関しては、どのパターンを利用しても上手く運用できるのであれば、問題ありません。コンテンツSEO会社に任せてもライターがSEOの知識を持っていない場合や提案にきたコンサルタントが、新卒であったりする場合は期待できません。
どのパターンで行うかもそうですが、誰にどのように依頼をかけるかを考えてみてはいかがでしょうか。
手順⑦:検品作業
ライティング完了後、Webサイトに公開する前に誤字脱字のチェックとコピペチェックを行うようにしましょう。
誤字脱字は、検索エンジンが正しく読み込んでくれない場合やユーザーの信頼性低下に繋がります。また、コピペ文があると、ペナルティの対象になってしまう場合もありますので、必ずチェックするようにしましょう。
インターネットでコピペチェックツールと検索すれば、無料のコピペチェックツールも出てきますので、最初は無料のコピペチェックツールを利用するカタチで問題ないと思います。
また、最初に作成したレギュレーションと照らし合わせ、依頼内容に沿ったコンテンツになっているかも確認するようにしましょう。気になる点があれば、ライターやコンテンツSEO会社に伝え、精度を高めていくようにしましょう。
手順⑧:効果測定(重要度:★★★★★)

コンテンツSEOを運用していく中で、GoogleアナリティクスやSEO順位チェックツールを用いて、効果測定を行うようにしましょう。
最初に立てた定量目標・定性目標に近付いているか、KPIの進捗率はどの程度かを確認するようにしましょう。出来れば2週間に1回、プロジェクトに関わる全員でミーティングを行い、結果の測定と改善案をディスカッションするようにしましょう。
常に効果測定をしながら、PDCAサイクルを回すことが重要です。
また、数万PVを超える段階になった時点で、ヒートマップツールを入れるなど、サイト全体の導線設計を見直すなど、効率的に集客できるような取り組みを行うことも大切です。
まとめ
検索エンジン・ユーザーの意図を捉え、有益な情報を持ったコンテンツを提供するため、分析や企画・ライティング部分を正しく行えば、成果を獲得できるのがコンテンツSEOです。
検索エンジン・ユーザーの両方に評価されるコンテンツを作ることを意識して、コンテンツSEOを行うようにしましょう。
今回は、あくまでコンテンツ”SEO”の観点で紹介させて頂きましたが、コンテンツマーケティングの概念で行う場合には、他にもペルソナ設計やカスタマージャーニーマップの作成、ホワイトペーパーの準備からメールマーケティング、SNSの活用も必要になってきます。コンテンツマーケティングの運用方法に関しては、別の記事で紹介していきます。

某IT企業に勤める一介のマーケッター。デジタル領域のマーケティングを中心に15年で300社以上のデジタルマーケティング支援に従事。2児の父。趣味はサウナとギター。